Malmaison

 行き方:マンチェスターをひたすら西に行き、街が無くなって森ばかりになってからHwyTを右折。

しばらく走って右側に白い柵が出てきたら、その終わりのところで右。ずーっと直進してゴルフ場の中を抜けて、行き止まりになる辺りで小さな橋を渡ると砂利の駐車場があり、その上にある。

フレンチとアメリカンの境目は何かというと、やはりソースと味付けになると思う。でも、この店の一番良いところははっきり言うと場所である。街の中のレストランと違って、ダウンタウンからなら1時間近くかかる西の外れなので閑静な森の中で、夕暮れなどに小鳥の声を聞きながらテラスでカクテルなどを飲んでいると、これが贅沢というものか、などと感じるくらい場所がよい。店自体は入り口でスモーキングとノンスモーキングに別れ、50人と80人くらいの収容人数なので、余り大きいという感じは受けない。社用も場所を気にしなければ問題ない。ランチは日曜だけ、月、火は休みだ。

店は6時と8時半という二回のスタートタイムを持ち、希望する方に予約を入れることになる。これからは遅いほうの時間に予約して、それまではテラスで夕暮れを眺めながら好きな飲み物を楽しむことをお薦めする。席に着くと飲み物のオーダーの後に、ウェイターが本日のお薦めを早口でまくし立ててくれる。早口なので聞くのが大変。社用で使ったときに、となりのイギリス系アメリカ人に「早くて上手く聴けなかった。ウズラの他に鮭と何がお薦めだって?」と聞いたら、「早すぎて私も良く分からなかった」と言ったものだ。ところでお薦めのメニューだが、はっきり言ってこれだけの価格のレストランにしては大したものではない。もちろん、比較的一応はまともなフレンチなので肉類のソースはコクがあるし、魚類は比較的軽めなソースだ。付け足しておくと、ここの店のハウスワインは結構まともだ。

この店の魅力はその場所の他にもある。デザートの定番のセントアルバンアイスクリームバスケットだ。アイス自体は普通のものだが、キャラメルで作った編み目の篭にフルーツとアイスが入っているので、彩りだけでも見ただけで気に入ることは間違いない。同僚の女性のロイヤーは、鴨だのウズラだのと言ったジビエ系が充実している肉料理をスキップしてまでこれを食べていたが、それが納得できるデザートだ。他は悪くはないが普通だ。

 

Fio's La Fourchette 

マルメゾンでは味に満足できない方にお薦め。こちらは、とことんソースに凝った正当のフレンチである。店の入り口は狭いが、中は結構広い。しかし、テーブルの間隔が広いのでせいぜい100人程度しか入らない。この店はバー以外は禁煙なので、スモーカーは覚悟が必要。店員の応対は良い部類に入る。値段は高く一人$80くらいか。ワインは比較的よいものが揃っています。

この店の料理の種類は決して多くないが、必要にして充分な程度はある。フランスのレストランのように料理のボリュームは少ないので、日本人でも充分にコースを全て平らげることが可能だ。サラダなど、四口で終わるほど小さく、思わず「これ、サラダ?」と聞き返したほど。但し、思いっきり手の込んだ料理だ。細かい網目状の楕円形のものがあったので、てっきり市販のポテトチップスかと思ったら、なんと人参の細切りを丁寧に並べて軽くポアレものだったのには驚いた。メインにはお腹が空いていたのでステーキを頼もうとして、大きさを聞いたら「これはかなり大きくて充分以上のボリュームがあります。だいたい6オンス(180g)から8オンス(240g)の大きさがあります」と言ったのにもびっくり。日本サイズだ。テンダーロインは120g位しかなくて、5種類のソースが付いてくる。同席の人に聞いたら魚料理はカジキもスズキも充分に新鮮だったと誉めていた。ちなみに、全ての料理はサーブされるときに全員に細かく紹介される。

しかし、この店の売りはソースだけではない。メニューにはデザートとして2種類のスフレが載っており、当日はメニュー外のものも一つあったが、これは絶品と言ってよい。これを食べるためにこの店に行くのも良いだろう。