東海岸何でもありの珍道中

 

 

第二部 キーウェスト−オーランドの旅

4日目 キーウェストからオーランド
今日は昨日と逆コースです。朝には最南端の記念碑に行ってみました。キューバまで90マイル、と書いてあり、晴れた日には見えるそうです。

ただ、記念碑の向こう側に見える海軍の通信基地の方がもっと南にあるのではないか?との疑念がないわけでもありません。

でも、ここが最南端です。因みに、この記念碑はできたてでした。

 

ここは「最南端の家」だそうです。個人所有の豪華なマンションです。

が、この家と上の最南端の碑の間に、実はもう一つ小さな家があって、その家の前にも「最南端の家」と手書きの札が立っています。

ここはかの有名なヘミングウェイの家。ほとんどの作品はこの家で書かれたそうです。看板にもあるように、入場料は$9もします。それなら帰ろうか、と思いきや、「いいんじゃない」との仰せに従い中に入りました。
なんでもヘミングウェイは猫好きで有名ならしく、その子孫が50匹以上もいるそうです。この玄関に陣取っているやつは、カメラを向けるとちゃんと目線を合わせてポーズを撮ります。

そこらの人間よりよっぽど愛想がいいです。そして、撮影が終わるとちゃんとなついてくれて、少し経つと元の位置に戻ります。この猫、仕事を心得ています。

家の中はガイドツアーで回ります。日本人向けに日本語のパンフレットもあります。

ここは2階のベッドルームで、ガイドさんは全ての猫の名前が分かるようで、ちゃんと名前を呼んでいました。

適度に木に囲まれた、本当にすてきな部屋です。

窓の外の景色はこうなっています。さすがに南国、と言うか亜熱帯ですね。雨の後だったので緑がとても生き生きとしていました。向こうに記念館となっている灯台が見えます。
この猫は「世界で一番有名な猫」だそうで、お客が集まると水飲み場(猫専用)で水を飲んで見せます。しばらくするとどこかへ消えます。とてもおとなしくてかわいい猫でした。
さて昼食です。

昨日、生牡蠣のあまりの美味しさに感動して同じ店に戻ってきました。昨日は夜だったので外が見えませんでしたが、本当に港のそば、と言うか船着き場そのものという感じの場所で、すぐ隣からはフェリーも出ています。11時の開店と同時に入店。

本日のごちそうはここで食べてしまいます。そこで生牡蠣(1ダースで$9)や生あさり、蒸しあさりやスープを注文。これ、前菜です。

味はもちろん最高でした。全く生臭みが無くて、甘みがじわ〜っと出てきます。蒸したアサリもぷりぷりで最高の味でした。

メインに頼んだのは白身魚とホラ貝のサンドイッチ。右のカツになっているのがホラ貝です。

ドルフィンという名の白身魚は実はスズキだそうで、味はあっさり系のごく普通のものでした。$8です。コンチと言うホラ貝の方はカツですが、($9)が、ものすごい歯ごたえで、サンドイッチを噛み切るのが大変です。味は?何とも言えません。はっきり言うとあまり味がないんです。でも、貝が好きな人にはたまらない一品です。

お腹も一杯になったし、お昼になってしまったので大急ぎで出発します。何せ今日は400マイル先のオーランドまで戻らないといけません。

車窓の景色は昨日に比べて回復した天気に助けられて、いかにもリゾートらしく見えます。「あそこのリゾートは、たぶん一泊$300近いんだろうなぁ」とか思いながらのんびりと走ります。

いよいよ有名なセブンマイルブリッジです。Seven mile bridgeとマイルが単数で書いてあります。

まずは橋のたもとの小さな公園に立ち寄って写真撮影謎します。

橋の真ん中は船を通すために高くなっているのですが、残念ながらこの写真ではそこまで分かりません。だって、5キロも先ですから。

この辺りはものすごく遠浅になっています。きっと7マイルの橋を架けるのも意外と簡単だったのではないでしょうか?

小さな生き物や鳥がのんびりと遊んでいるというのどかな公園でした。

今回の旅行に使用したうちの車です。せっかく南端まで来たのだから記念に一枚、と思って撮影しました。

が、これがその勇姿を撮影した最後の1枚になろうとは、その時は全く予想もしませんでした。ミズーリナンバーなのが分かりますか?

さて出発です。橋に入って3マイルほど走った頃、やっと先の方が高くなってきます。ずっと一直線で、もう入ってきた橋の入り口の方は小さくなってよく分かりません。
橋の頂上から更に先の方を撮影しました。遙か先の方に陸地が見えます。そこに行くまで少しだけ曲がっています。

ここまででやっと半分。あと3.5マイル(5キロ)もあります。

本当は天気がよかったらもっときれいなのでしょうが、だんだん天気は悪くなってきているようで雲行きが怪しくなってきました。

この橋のすぐ左側に黒く見えているのが旧橋で、最初はバナナを輸送するための鉄道としてつくられ、後に道路になりましたが台風で壊れたので、現在の広くて大きな橋に造りかえられました。

旧橋の方は(写真にちょこっとだけ写っているのですが)途中にちっこい島があって、現在でもホテルが営業中で、向こう岸からその島までは道路が通じています。

 

ほら、ちゃんとセブンマイルブリッジって書いてあるでしょ。「マイルズ」ではありませんよね。

これは橋の反対側(マイアミ側)で撮影したものです。ちょうど日が当たっていて暑いくらいでした。右側が旧橋です。

なお、ここまでセブンマイルブリッジをしつこく紹介してある日本語ホームページは他にありません。おつきあい下さってありがとうございます。

旧橋の方は「通り抜けできないのでホテルに用のないひとは通れません」というようなことが書いてあったような気がします。

因みにちょうど機関車の形をしたトラムがお客を乗せてホテルの方に走っていきましたが、撮影し損ないました。

ホテルと言っても単に小さな小屋にしか見えない小さなものです。

セブンマイルブリッジをすぎたら急に天気が悪くなってきました。パラパラと雨が当たり始めます。

どうやらハリケーンガブリエルの影響がでてきたようです。ここはキーウェストを出発して1時間半。フロリダ半島にだいぶ近づいてきたところです。

ここらで一度給油しておかないとオーランドまで持たないので、ガソリンスタンドに入ることにしました。

ガソリンスタンドに入ったところで左のゴミ収集車のとなりで停車したところ、何とゴミ収集車が右にハンドルを切って動き始めました。

こっちは止まったままです。ビーッ、ビーッ、と何度も警笛を鳴らしましたが止まってくれません。

そしてとうとう・・・・。

グワシャッとぶつかりました。

あわれ、はるばるミズーリ州セントルイスから走ってきた愛車は見るも無惨な姿に・・・。

ぶつかってからゴミ収集車の運転手が大声でスペイン語をわめきながら降りてきました。

(今から考えると、右に走りながら逃げればぶつからなかったかもしれませんが、そうすると右前の店に止まっていた車にぶつかったかもしれません。このときは「動かないのが一番」と思っていました)

みごとに後輪の間に左前がぶつかっています。

 

どうすればいいのでしょう?しばし呆然とします。相手のオッちゃんはなにやらスペイン語で会社に長々と電話をしています。

これでこの旅は終わりになるのでしょうか?こちらで修理に出すとすると、あとで取りに来なくてはいけません。車がなければこの後の予定はパーです。

とにかく警察を呼ぶことにしました。こっちではポリスレポートがないと保険が使えません。

やっと来たコップ(警察官)は双方の話を聞いてからなにやらレポートを作り始めました。

長々と電話をかけていた相手のオッちゃんは「おまえのおかげで首になったぞ!」と怒鳴ってきました。ゴミ収集車の会社は早々に決断したようです。それはそれで気の毒だとは思いますが・・・。

しばらくしてからコップの指示で車を移動し、双方を呼んで説明をしてくれました。

「前輪の前のへこみ方を見ると、明らかに後ろから前に向かってぶつかっている。そうしないとこういう傷はできない。従って、ゴミ収集車の方が動いていたことは確かだ」(おお、分かってくれたか!)

それでもオッちゃんは「向こうの方が勝手にぶつかってきたんだ」とブロークンな英語でわめいています。

コップは私に「気を落とすな、リラックス、リラックスだ。気を楽にしなさい」と優しく言ってくれました。

「この車で走っても良いですか?」

「走れるとは思うが、しっかり固定しないとダメだな。近くにハードウェア(日曜大工の店のこと)があるから、そこでしっかりしたテープを買ってきなさい。たぶん大丈夫だよ」

そこへ見知らぬあんちゃんが登場しました。「おれがロープを持ってるから縛ってやるよ」彼はそう言うと、ピックアップトラックからロープを取り出し、バンパーをフレームに縛り付けてくれました。あとは車にあったガムテープを貼り付けます。

車は見事に復活!

沿岸警備隊に勤めているという、そのあんちゃんは名前は教えてくれませんでしたが、その手に$10を握らせて、何度もお礼を言いました。

その他にも、何人ものひとが「お困りのことはありませんか?もし、何か私にできることがあれば言ってください」と親切に申し出てくれます。

アメリカの田舎には人情が生きています。日本だったらこうはいかないでしょう。よってたかって親切にしてくれる、そんな感じです。

ありがたくて、うれしくて、本当に助かりました。

その日は慎重に何度も停車してバンパーを確認しながらオーランドまで帰ってきました。宿に着いたのは9時を回っていました。

本日の走行距離:430マイル

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